東京フルスロットル

英語と地理と歴史を駆使したコンテンツが好きだったんですがもう仕事に毒されてしまったのです。

フィリピンでの超基本的な英文法のミスが色々と教訓深かった件

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 まぎらわしいわ!英語ではね、現在形と過去形の活用をしっかり分けて!てっきり現在形で「シンガポールに行ってる」と言うから、あなたのような若い人がなんで日常的にシンガポールへいくのかと不思議だったわ!

 

お叱りを受けたのは2014年の年末。俺はフィリピンの富裕層が多く住むというマニラ=ケソン地区に滞在していました。その当時は下火になりつつあった、フィリピン格安語学留学の一種です。この時は海外渡航経験も少なく、俺にとってフィリピンは数ヵ国目の滞在先でした。

   

俺を叱りつけた彼女は語学学校の先生ではありませんでした。彼女は40代の女性で、フィリピンの富裕層ばかり集うという名門アテネオ大学出身。そんな彼女とは、語学学校の寮の近くの駐車場で出会いました。俺はその駐車場でよくたばこをふかしていました。その駐車場に彼女は立ち寄ったらしく、旦那と買い物に行く途中だったのです。俺はその駐車場で、顔見知りとなっていた浅黒いフィリピン人警備員と談笑していた時でした。そこではたちまにして4人での会話が始まりました。

 

その時に気づかされたことがいくつかありましたが、2016年になった今だからこ気づいたこともあります。それについては後述。

 フィリピン人との会話で超基本的なミスを犯す

どのような質問をされたのかは以下の通り。

 

なぜフィリピンに来たのか?

 

フィリピンでの生活はどうだ?

 

フィリピン以外の外国にいったことがあるか?

 

この3つ目の質問を受けたとき、俺は恐らく

 

Umm,yeah, I go to umm, Singapore.

 

などと答えてしまいました。シンガポールに行ったのは2014年秋の1回であったにも関わらず。

英語で英語のミスを指摘される

これを聞いた彼女は、非常に驚いた表情で、一体どれくらいの頻度でシンガポールに訪れるのかと聞いてきました。

 

俺は観光でしか訪れていないし、それも当時は一度しか訪れていないので、その質問の意図に困惑しました。

 

返答に困っていると彼女は重ね重ね質問をぶつけてきました。

 

「シンガポールには、仕事か何かで行くの?」

 

これには「俺は大学生だし、観光だよ」と即答しましたが、彼女はまた意味不明の返答を寄越してきたのです。

 

「へえ!若いのにお金持ちなのね!」

 

学生の俺がお金持ちではないなどごくごく自然であったし、たった1度しかシンガポールに行ったことはないのに、なぜそのような返答をされるのか全く理解できませんでっした。彼女が恐ろしいほど貧富の格差が存在するフィリピンで、富裕層ばかりの大学を出ていることを考えれば、その答えは実に不可思議なものに映ります。

 

「あのね、一回しか行ったことないよ?」

 

これを聞いた彼女が言い放ったのが、記事冒頭の一言でした。

まぎらわしいわ!英語ではね、現在形と過去形の活用をしっかり分けて!てっきり現在形で「シンガポールに行ってる」と言うから、あなたのような若い人がなんで日常的にシンガポールへいくのかと不思議だったわ!
 

短いセンテンスとはいえ、動詞の活用によって意味が大きく変わるのは良く知っていたはずでした。頭の中ではわかっていたつもりでも、いざ言葉にするときには文法が怪しくなっていたのです。それゆえにフィリピンの大統領令嬢と友人関係にあるという彼女に、英語で英語についてのお叱りを受けたのでした。

当たり前のような教訓 

ここで俺が学んだのは現在形と過去形または完了形の違いだけではありません。教科書などの座学よりも実際のアウトプットを通じた学びの方がインパクトが大きいということです。無機質な紙に印字された参考書の文法事項や、演習問題だけでは気づき得ないことを実際の運用から大きな気づきとして獲得可能だということです。

 

なぜアウトプットを通じたミスの方が結果的に大きなインプットになったのか。それは自分の発言意図と実際の話の展開に大きなギャップが目の前に生じたからです。つまり相手とのコミュニケーションが文法一つ間違えただけでひどく阻害されかねないことを体感したからです。質問に対して「(たびたび)シンガポールへ行くよ」と間違った受け答えをしてしまった俺は、教科書の解説だけではカバーしきれない細かいニュアンスの違いや実際の相手の反応まで、結果的に幅広い検証ができたのです。

   

 

この経験は語学学習において「積極的に会話をしてどんどん失敗を繰り返す」という教訓を与えました。それまではそうした「語学学習の王道」と言われるゆえを根本から理解してはいませんでした。ただ自分には関係のない方法論のひとつと考えていたのです。それがフィリピン人の彼女との会話を通じて自分の血肉とすることができました。

このように「積極的に会話をして失敗を繰り返す」という方法は語学学習に取り組む際の自分のひとつの方針となりました。また語学学習以外にも、早めにたくさん失敗しておくこと、すなわちとにかくやってみることを意識するようになったのは大きな成果でした。

以降は会話で何かに怯えることもなくなり、むしろ相手が何か指摘してくれたらラッキーなんて姿勢に転換できました。これは旅行などで海外を訪れた際にはより大きな行動力をもたらしてくれるようになったと思います。